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5月末には入院患者数が落ち着いたこともあり,2カ月間続いたCOVID-19専従の入院チームがいったん解散することになり,医局で報告会が開かれました.最前線で奮闘してきた医師の視点から,COVID-19の臨床経過,検査,治療について報告があり,中でも重篤化例の振り返りは非常に示唆に富む内容でした.一度サイトカインストームを惹起すると,一気に治療抵抗性となる印象で,アビガンやレムデシビルだけでなく,ステロイド,免疫抑制剤,抗凝固薬,血漿交換なども検討されますが,濃厚な治療のかいなく亡くなられる方もいらっしゃいます.高齢(70歳以上)や透析中,がん・放射線治療後など明らかなリスクを抱える方もいますが,中には現病歴のない60歳代の方が急性増悪したケースもあり,経過の個人差が大きいのが治療の難しさにつながっていると感じました.
6月4日,米国・欧州で職域ヘルスプロモーションを手掛けるWolf Kristen氏から「産業保健とコロナについての国際ウェビナーで発表しないか?」とのお誘いをいただき,トップバッターで発表させていただきました.時間は全体で90分,演者は5名で,日本,タイ,シンガポール,インド,UAEから,各国のコロナの現状と産業保健分野での取り組みについて報告がありました.私も日本での1号症例のニュース,クルーズ船を含む政府の対応,自粛の効果,企業のコロナ対応についてお話しました.興味深かったのは,自粛の程度に差こそあれ,各国ともにテレワークの健康影響とその支援の話題が多かったことです.Kristen氏からは,英国での調査結果ではテレワークで身体的・精神的・生活習慣に影響が出ており,多くの方に睡眠障害,頭痛や目の疲れ,運動不足,食生活の乱れ,飲酒量増加がみられるとのお話がありました.実はこの日は,午前は横浜にある大学の遠隔授業,午後は診療後に国際ウェビナーで発表し,夕方はさんぽ会6月月例会のZOOM開催と,自席にいながらまさに「新常態」な1日でした.
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