特集 次代の公衆衛生を展望する
扉
「公衆衛生」編集委員会
pp.355
発行日 2020年6月15日
Published Date 2020/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209400
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わが国の公衆衛生は母子保健と結核対策によって形づくられてきました.保健所を基盤として,対人業務は保健師が担うという仕組みです.近年は主要な健康課題が生活習慣病となり,公衆衛生の機関には虐待,暴力,依存症などの社会的な問題への対応も求められています.
人口動態的は,多産多死型から少産少子型の社会となり,また,人口減少社会となっています.そのため,一人一人の人間の価値が高まり,全ての人々が健康で文化的な生活を享受できる社会とすることが目指されています.人間社会は急速に国際化,グローバル化してきています.国境の壁が低くなり,感染症対策や食品安全や環境保護などは一つの国で対応できないものとなってきています.全ての人々の健康と安寧を保証する社会を実現するには,国の役割だけでなく地方自治体の機能強化と役割が高められてきています.1995年に中核市が発足し,2020年3月現在,58市に増えてきていることもそれを反映しています.中核市は保健所設置を義務付けられた自治体であり,今後の日本の公衆衛生の基本的な体制に影響を与える存在と考えています.一方で,企業や事業者の役割,影響力も大きなものとなっています.
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