特集 摂食障害の理解と対応
摂食障害の臨床現場における診断・治療の現状と課題
髙倉 修
1
,
小牧 元
2
1九州大学病院心療内科
2福岡国際医療福祉大学医療学部
pp.731-737
発行日 2019年10月15日
Published Date 2019/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209245
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はじめに
摂食障害(eating disorder:ED)治療の臨床現場では,著しく痩せている患者を神経性やせ症(anorexia nervosa:AN)と診断するのは難しくない.しかし,痩せを達成している患者は,自分の問題(病気)を認め,治療を求めて自ら医療機関を訪れることに抵抗を示すケースがほとんどである.他方,過食と自己誘発性嘔吐などを常とする神経性過食症(bulimia nervosa:BN)では,そうした自分の行為を秘密裏に行っていたり,恥ずかしいと感じて一人で悩んでいたりすることも少なくない.医療者はこうしたED患者の心理的特徴を的確に把握・理解して,慢性化する前に早期に医療に導入することが求められる.
本稿では,初めにEDの診断基準ならびに診断上の留意点を述べる.治療については,西欧で近年,推奨されている治療を中心に紹介する.また,2015年12月に九州大学病院心療内科(以下,当科)に開設された福岡県摂食障害治療支援センター(以下,福岡県治療支援センター)における実際の臨床データを交えつつ,診断・治療の現状と課題について述べる.
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