特集 摂食障害の理解と対応
「摂食障害」の誕生から現在までの変遷—時代と社会の変化が及ぼしてきた臨床像
山内 常生
1
,
切池 信夫
2
1大阪市立大学大学院医学研究科神経精神医学
2大阪市立大学
pp.718-723
発行日 2019年10月15日
Published Date 2019/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209242
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はじめに
摂食障害,あるいは拒食症や過食症といった病名は今では広く認知されており,身近な病気になった感がある.マスメディアで取り上げられる機会が増えたことも一因で,有名人が摂食障害の既往を告白したり,痩せた姿から拒食症になったのではないかとの噂が飛び交ったりすることも珍しくない.摂食障害が“病気”として登場して以降,その患者数は増えてきた.特に,この半世紀の患者急増は,“特別な人たちの病気”からの一般化を表しているのであろう.疾患としての本質に変わりはないが,疾患の解釈,または患者像はその時代を背景として変化してきた.
本稿では,摂食障害の現在に至るまでの疾患概念と診断基準の変遷,また,患者を取り巻く社会的変化の影響と臨床像の変化などについて述べる.
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