病院運営の変化 ここ10年余病院はどう変わったか
病院組織の変遷と現在の問題点
石原 信吾
1
Shingo ISHIHARA
1
1日本病院管理協会
pp.787-790
発行日 1985年9月1日
Published Date 1985/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208678
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昭和20年代から30年代にかけての我が国の病院の近代化をリードしたものは組織の近代化であった.つまり,組織の近代化を通して我が国の病院の近代化は推進されたと言ってよい.それによって,従来の日本型病院は欧米型病院への転換を遂げたとも言える.しかし,日本型病院はもともと日本独自の歴史的風土に根ざし,そこから育って来たものであるだけに,極めて根強い根底をもつ.そこには,当然日本型病院組織といえるものがあったことも言うまでもない.とすれば,組織の近代化とは,端的に,この日本型病院組織の欧米型病院組織への転換と見てよいものであったとも言えよう.
しかし,事実としては,それは転換というよりも従来の台木への接木と言ったほうがよいものであった.その台木が今なお根強く生きているために,それが事あるたびに元の芽を出し本性を現す場合も少なくない.しかも他方では,昭和40年代から始まった医療技術革新の驚異的進展によって,病院医療の実体に大変換が起こり,そこから病院組織に新しい転換も起こっている.こうして,現在の我が国の病院組織には,旧態依然たるもの,転換が中途半端であったために元の痕跡を残すもの,新しい事態への適応を更に迫られているものなど,各種の姿が入り交じっており,その各々にそれぞれ幾多の問題点が内包されていると見てよい.しかも,その問題点自体が,病院当事者によって意外に自覚されていない.
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