特集 感染症対策の変化と進化—コロナがもたらしたもの
扉
「公衆衛生」編集委員会
pp.713
発行日 2021年11月15日
Published Date 2021/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209724
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は,2019年の中国・武漢市でのアウトブレイクから間もなく2年となる現在でもパンデミックの終息が見通せず,医療や公衆衛生などへの影響はもちろん,その社会・経済的なマイナス面の影響(negative impacts)が甚大です.
このような中,COVID-19は,インフルエンザをはじめとするほかの感染症の流行にも大きな影響を及ぼしています.例えば,COVID-19のパンデミックに伴い季節性インフルエンザは,先行して冬季を迎えた南半球だけなく,北半球の国々でも記録的な低流行で終わりました.わが国でも,毎年夏に大きな流行を見せる手足口病やヘルパンギーナ等の報告例が激減するなど,COVID-19が他の感染症の流行に大きな影響を及ぼしたとされています.その要因としては,COVID-19対策としてのマスク着用の徹底や身体的距離の確保,旅行制限などの公衆衛生的介入(非薬理学的介入)が,他の感染症の予防にも効果的に作用したほか,いわゆるウイルス干渉などの可能性も指摘されています.
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