特集 人獣共通感染症—獣医衛生領域から見た対策
野生動物の疾病とジビエ(野生獣肉)の安全確保対策
髙井 伸二
1
1北里大学獣医学部
pp.40-45
発行日 2019年1月15日
Published Date 2019/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209055
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はじめに—野生動物による農作物被害の現状
わが国には700種以上の野生鳥獣(哺乳類・鳥類)が生息している.近年,ニホンジカやイノシシなどの一部の野生鳥獣の生息数が急激に増加するとともに生息域を拡大しており,自然環境,農林水産業,生活環境への被害が深刻化している.農林水産省の被害調査では,2016年度の野生鳥獣による農作物被害額は172億円,被害面積は65,000ha,被害量は490,000tとなっており,主要な獣種別の被害額は,シカが56億円,イノシシが51億円,サルが10億円であった1).
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