Ecology for Nursing
動物生態学—ヒトの進化をはかるためにも野生動物は残されねばならぬ
小原 秀雄
1
,
千葉 康則
2
,
小林 冨美栄
3
1栄養大学・動物学
2法政大学
3東京女子医大短大
pp.58-64
発行日 1971年5月1日
Published Date 1971/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916026
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■基本講義■
■生物の世界を成立させるもの
生物というものは生きている。普通生きているというときには,皮膚の内側で生きている部分と,皮膚の外側で生きている部分があると考える。生命を維持することと,生活を維持している点である。かりに細菌のような下等動物などの生物では,分裂して繁殖していくうえにおいて,あまり他の個体の存在が問題にならないのが,高等動物では種を維持するとき,1匹の個体だけでは,動物園で飼われていたとしても死んでしまえば種が絶えるという問題がある。
すると,生物が生きているという場合,自分と同種の他の個体の存在というか,そういう2つの個体のなかで1つの関係というものができあがり,そこではじめて遺伝子交換なりして子孫を残して生きていくということが1つある。つまり,個体が生きていくというだけではなく,その種が生きていくということ。そこに同じ種類の動物同士の様々な関係というものがあって,「種の生態学」とか,「種の動物社会学」という領域で,それらを対象として研究している。
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