特集 薬物乱用
北見保健所管内における野生大麻対策の現状と課題
杉澤 孝久
1
1北海道北見保健所(網走保健福祉事務所北見地域保健部)
pp.833-837
発行日 2009年11月15日
Published Date 2009/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101670
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はじめに
北海道は,歴史的に大麻の栽培が行われていたことなどから,野生大麻が自生しており,平成20年の集計では全国の野生大麻除去本数中約87%を北海道が占めている1).この野生大麻を不法に採取しようとする者が後を絶たないため,野生大麻対策を強力に推進することが求められる状況となっている.
北海道では,毎年6~9月までの4か月間を「野生大麻・不正けし撲滅運動月間」と定め,関係者の連携のもとに,大麻の種ができるよりも前の時期に抜き取りを行うという野生大麻除去対策を推進する一方,薬物乱用防止教育を中心とした地域に密着した啓発活動を行ってきた.
特に,野生大麻が多く自生している地域の対策として,平成4年度に大麻を採取する事犯が多発した北見保健所および網走保健所管内,平成5年度に帯広保健所管内,平成21年度からは釧路保健所管内を重点地域に指定して,積極的な除去対策を推進している(図1).
北海道全体の野生大麻抜き取り本数については,昭和50年代にピークを迎え,その後は減少傾向ではあるものの自生地自体はあまり減少せず,大麻事犯も続発するなど大麻との戦いが長く続いている.
このようなことから,今年度重点地域の4保健所管内において野生大麻対策の強化として「野生大麻ゼロ作戦の日」の設定や,大量人員による徹底した除去活動の展開,「野生大麻監視重点地域」の立て看板の設置,「野生大麻監視員」の委嘱などの体制整備を行うこととしたところである.
本稿では,北海道の大麻の歴史と,北見保健所管内における大麻対策の今後の課題について整理する.
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