特集 ヒトと家畜・ペット・野生動物の感染症―口蹄疫から学ぶ
BSEの世界の現状と対策の評価
山本 茂貴
1
1国立医薬品食品衛生研究所食品衛生管理部
pp.23-25
発行日 2011年1月15日
Published Date 2011/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101994
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BSEとは
BSEは正式には牛海綿状脳症(Bovine Spongiform Encephalopacy)と言い,プリオン(感染性蛋白質)により伝達される伝達性海綿状脳症のひとつである1).宿主の正常プリオン蛋白質(PrPC)がその構造異性体である異常プリオン蛋白質(PrPSc)に変化することによって起こる疾病である.伝達性海綿状脳症には,他に,羊や山羊のスクレイピー,鹿慢性消耗病(CWD:Chronic Wasting Syndrome)が含まれる.ヒトのクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)も類似の疾病である.
BSEの症状は,中枢神経障害による,①異常行動,②過敏症(知覚,触覚,視覚),③不安,④歩様異常,⑤後躯麻痺,⑥泌乳量の低下,⑦一般健康状態の悪化などが認められる.BSEは牛が飼料等に含まれるPrPScを経口接種することにより感染する病気で,口蹄疫などと異なり,牛から牛へ水平感染することはない.
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