「公衆衛生」書評
—浦島充佳(著)—患者の生活習慣を改善させる技術を解き明かす一冊—『《ジェネラリストBOOKS》—外来でよく診る—病気スレスレな症例への生活処方箋—エビデンスとバリューに基づく対応策』
小泉 泰郎
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pp.823
発行日 2018年11月15日
Published Date 2018/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209005
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本書が伝えるのは,来院者の健康のために,食事や運動などについての生活習慣を処方する「生活処方箋」という考え方です.診察に来る患者さんはそれぞれ別個の悩みや身体症状を抱えていますが,実に大部分の人が共通して,薬に頼らず治したいという要望を持っています.生活習慣を改め病因を根本から絶つアプローチは,服薬と違い副作用の恐れや費用の負担もなく,理想的な治療法だといえます.
このような方々の希望を実現するために,薬の処方一辺倒の治療では求められてこなかった,患者さんの行動変容を促す医師の腕前が問われるようになります.決して簡単なことではありませんが,本書の助けがあれば,個々の症状や価値観に応じ,適切な食習慣や運動習慣を身につけてもらうための道筋が見えてくるはずです.本書には「生活処方箋」の裏付けとなる有用なエビデンスから,患者さんをモチベートするためのフレーズに至るまで,当事者の納得とやる気を引き出し,より良い生活習慣の継続を実現する術が豊富に掲載されています.これは薬に頼らず病気を治したい人に,大きな希望を与えることでしょう.
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