開業医日誌
旅路の果てに
西田 一彦
1
1西田内科医院
pp.1608-1610
発行日 1979年10月10日
Published Date 1979/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216104
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福祉事務所で
毎週水曜日,福祉事務所に出かける.医療扶助診療要否意見書の点検が主な仕事である.わがまちも年々,京浜のベットタウン化するとともに,京浜地区からの流入人口が多くなり,近来の不況と相俟って生保受給者が増加しているようである.生保受給者はその生活条件の悪さから当然の帰結として病人も多く,医療扶助受給者も増える傾向にある.また一家の働き手が病気で倒れたため,生保受給者となるケースも少なくない.机の上に積まれた書類を拡げると,その一枚一枚に苦しい生活の叫びが聴こえてくるようである.書類の点検が終わると,ケースワーカーから問題ケースについての相談を受けて回答や指示を与え,さらに意見交換をすることがもう一つの大切な仕事である.その日もケースワーカーとの話合いをすませると事務所の出口近くにあるホームヘルパーの部屋を訪れた.午後4時すぎ訪問介護を終えたヘルパーたちが,それぞれ日誌や報告書を書いている.
「ごくろうさん.何か問題ありますか……」
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