特集 脳性麻痺と産科医療補償制度
脳性麻痺の発生リスク研究における最新の知見
長谷川 潤一
1
1聖マリアンナ医科大学産婦人科学教室
pp.532-538
発行日 2018年7月15日
Published Date 2018/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208926
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はじめに
脳性麻痺は,受胎から新生児期までの間に生じた脳の非進行性病変に基づく,永続的な運動および姿勢の異常である.知られている原因として,出生前後の低酸素などによる脳の障害があるが,原因がまったく分からない場合も少なくない.産科医療補償制度(以下,本制度)の再発防止委員会は,「再発防止に関する報告書」1)を毎年公表し,補償対象となった重度脳性麻痺児に関する基本統計を示している.さらに,日本産科婦人科学会,日本産婦人科医会などから推薦された産科医,学識経験者などから構成される「再発防止ワーキンググループ」が脳性麻痺発症の原因や,同様の事例の再発防止などを専門的に分析している.
本稿では,本制度のデータを用いて,わが国の脳性麻痺発症に関連する周産期リスク因子を取りまとめた結果を示し,得られた知見と脳性麻痺発生メカニズムとの関連を解説する.
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