特集 聴覚障害の早期発見と支援体制
先天性難聴児のゲノム診療の意義と動向
松永 達雄
1,2
1国立病院機構東京医療センター臨床研究センター聴覚・平衡覚研究部
2国立病院機構東京医療センター臨床遺伝センター
pp.468-473
発行日 2018年6月15日
Published Date 2018/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208910
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はじめに
先天性難聴の診療効果を高めるためには,各難聴児の臨床的特徴を把握することが役立つ.しかし,乳幼児で実施できる聴力検査は限定されているとともに,聴力検査で病態や将来の聴力変化を予測することは困難あるいは不可能である.一方,原因となる遺伝子変異が判明すると,ある程度,難聴の病態,特徴,経過を予測できる.ただし,先天性難聴の原因遺伝子とその変異は極めて多数あるため,これまでの遺伝学的検査で原因確定できる難聴児はごく一部であった.
近年,ゲノム解析技術の進歩によって,臨床検査として多数の遺伝子の変異を調べることが可能となり,その結果に基づいたゲノム診療が開始されつつある.本稿では,先天性難聴のゲノム診療の意義と,その最新の動向について述べる.
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