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あとがき/投稿申し込み書/著作財産権譲渡同意書
阿彦 忠之
pp.430
発行日 2018年5月15日
Published Date 2018/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208901
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発達障害をテーマとした特集は,本誌では,発達障害者支援法(同法)の施行後10年目となる2014年の第78巻6号でも組まれました.2016年に同法は改正され,発達障害の定義に,社会的障壁(支援を妨げる社会環境や人材不足など)によって日常生活の制限を受けている視点が追加されました.障害者基本法(2011年改正)や障害者差別解消法(2016年制定)でも障害者の定義に反映されていた視点ですが,同法においても同様に追記された意義は大きいと思います.他の障害と比べて,発達障害は周囲の環境因子(無理解や差別などを含む)に起因する制限を受けやすいことを考慮すると,法改正が遅かったともいえます.
社会的障壁は「障害福祉」という枠にはめた制度が障壁となってつくられていた可能性もあります.企画の立案に当たってゲストとしてお招きした西牧謙吾先生が玉稿の中で強調されているように,発達障害者支援には,障害福祉の枠を超え,母子保健,学校教育,医療,就労支援など広い裾野を持つ公衆衛生課題と捉えて社会的に解決する視点が重要であることを再認識しました.
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