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あとがき/投稿申し込み書/著作財産権譲渡同意書
阿彦 忠之
pp.312
発行日 2016年4月15日
Published Date 2016/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208417
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保健所長をはじめとする公衆衛生医師は,所属する地方公共団体の産業医も兼務している場合が多いと聞きます.私も県出先機関の産業医を兼務していますが,仕事の半分以上はメンタルヘルス関連の面談や相談,職場復帰プログラムの打ち合わせなどであり,メンタル不調者の増加と病状の多様化を実感しております.加えて,昨年12月には「ストレスチェック制度」が施行されました.本特集の中でも解説されているように,ストレスチェックの有効性は先行研究で裏打ちされたものではない(科学的根拠が不十分)とのことであり,現場からは戸惑いや不安の声が聞かれます.それを見越してか,産業医の研修会では,ストレスチェックの目的は(2次予防ではなく)1次予防であり,職場環境の改善を目指すものと説明されていますが,1次予防を軽く考えているようで心配です.
保健福祉政策に関わる公衆衛生医師の立場からみると,最近の産業保健は,地域保健との連携を深め,共通の課題認識のもとで新しい取り組みを模索しているようです.たとえば高齢労働者,障害者,難病患者等の就労支援や就労環境に関する課題の解決には,都道府県や市町村の保健福祉政策との連携が不可欠となっていることを,本特集を通読して強く感じたところです.また,職業病や作業関連疾患の予防という伝統的な枠組みに固執せず,より積極的な健康づくり,健康経営,ポジティブ(メンタル)ヘルスといった視点から産業保健活動が展開されつつあり,行政医師と産業医の兼務がメリットとなるような活動をしたいと考えた次第です.
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