連載 整形外科philosophy・1【新連載】
整形外科フィロソフィー序論―知ることを愛すること
辻 陽雄
1
1富山医科薬科大学医学部
pp.235-237
発行日 1997年3月25日
Published Date 1997/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408902115
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はじめに
かねてより,本誌編集室から原稿の依頼を受けていたのであるが,医の哲学を論じるのは,私にとって過ぎたることでもあり,しばらく躊躇していた.しかし考えてみれば,哲学は自省・反省の学,自己批判の学問であるから,それは一人ひとりの内面に向かって展開させる唯一自由な思惟行動でもあるので,それほど緊張すべきことでもないと思うに至った.そこで,私は,あえてその要望に応えるべく,過去39年間の整形外科医としての,あるいは34年間の大学教員生活の主として後半期に内省したものや知り得たものの幾つかについて,何回かに分けて筆をとることとした.いま私はフィロソフィーという,この企画の標題を,できるだけ忠実に受けとめようとするのであるが,私は哲学者でも宗教家でもないから,如何なる批評も甘んじて受けるほか,これからの在るべき整形外科医療の担い手としての特に若い医師の内面成長にとって,一粒の種子にでもなればなお幸いと思うのである.
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