特集 衛生監視・指導行政の現状と課題
食品のリスク分析・評価に基づく科学的な衛生監視指導体制の現状と課題
豊福 肇
1
1山口大学共同獣医学部
11
pp.618-624
発行日 2017年8月15日
Published Date 2017/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208714
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はじめに—コーデックス委員会とFAO/WHOによるリスクアナリシス
まず,食品安全リスクの国際的な枠組みを考えてみる.国際的なリスク評価は,FAO(Food and Agriculture Organization)とWHO(World Health Organization)が合同で開催するJECFA(The Joint FAO/WHO Expert Committeon Food Additives),JMPR(Joint FAO/WHO Meeting on Pesticide Residues),JEMRA(The Joint FAO/WHO Expert Meetings on Microbiological Risk Assesment)が担っている.コーデックス(Codex)委員会はこれらの専門家会合から提供される科学的アドバイスに基づいて食品規格,衛生規範,ガイドライン等を作成する食品安全に関する国際政府間組織であり,リスク管理者でもある.
コーデックス委員会におけるリスクアナリシスの歴史を述べる.1991年にローマで開催された食品規格,食品中の化学物資および食品貿易に関するFAO/WHO合同会議において,JECFAやJMPRのような健全な科学およびリスク評価の原則に基づいた,評価を提供する科学的委員会の重要性が強調され,まず,これらの原則の認知度を上げるため,FAOとWHOが対策を講じるよう勧告した.
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