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はじめに
緑内障,糖尿病網膜症,網膜色素変性症,加齢黄斑変性症,脳血管障害による視覚障害等が,現在のわが国の視覚障害となる原因のワースト5と言われている.
これらの疾患は,中高年以後に発症したり,症状が現れたりする疾患で,視覚障害者の約80%近くが人生半ば,しかも中年以降に障害を負った方たちと推察されている.
人生の半ばで“見えない・見えにくい状態”になった方たちに,“見えない・見えにくくとも”生きて行けるように,新しい情報と知識を提供し,生活様式を変容させる手助けをするのが,視覚障害リハビリテーション(以下,視覚リハ)である.具体的には,視覚以外の他の感覚の活用,残った視覚(保有視機能)の活用,ハンディを補うためのさまざまな補助具の活用方法の指導・訓練,社会的サービスの活用等の紹介をしている.
しかし,残念ながら,この視覚リハの存在,効果,方法,技術について,また,視覚リハを受けるためにはどこに行けばよいのかということはほとんど社会的に認知されていない.
視覚障害となる疾患名を見ても,高齢による視覚障害者の増加という観点からも,これからは,眼科領域や視覚障害関係のサービスに携わっていない方たちも,視覚障害当事者や,その家族・関係者に出会うことが増えることが想定される.
そこで,本稿では,視覚障害者への支援体制〔視覚リハ(ロービジョンケア)〕が現在どのように行われているのかを,なるべく具体的に,分かりやすく記述し,視覚障害を持った方に出会った読者の方たちが,「視覚障害となってどうしてよいか分からない」と困っている当事者や家族に,「ここに行ってみたら」「ここで相談してみたら」というヒントを与えられるような情報を提供することを目的とする.
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