特集 眼の健康とQOL
視覚障害者のQOLと包括的な支援
井上 馨
1
1北海道大学大学院保健科学研究院生活機能学分野
pp.403-408
発行日 2017年5月15日
Published Date 2017/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208665
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統括的な支援の意義
視覚障害者のQOLを考える場合,病気の予防,医学的治療,リハビリテーションの全ての段階がQOLの改善に関与していることは広く認められるところであろう.これに加えて障害により壊れた生活を再構築して社会生活を回復することまでを含めた包括的な支援をすることがQOLの改善につながると思われる.視覚は生きていくために必要な外界から得られる情報の大きな部分を担っているため,視覚の障害は大きなQOLの低下をもたらす.しかし,視覚以外の機能はそのままの形で残存しているため,適切な支援をすることで視覚障害者のQOLの改善が期待される.本稿では日本での中途失明原因の第1位を占める緑内障を中心に,予防や治療の新しい試みを概説し,生活の再構築へ向かう視覚障害者の代表的な例を紹介し,包括的なサポートの意義や問題点を論じる.
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