特集 原子力災害と公衆衛生—避難指示解除後の地域復興に向けて
原発事故避難生活者を受け入れたいわき市の地域保健体制への影響と課題
新家 利一
1
1いわき市保健所
pp.300-306
発行日 2017年4月15日
Published Date 2017/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208644
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はじめに
東日本大震災・福島第一原子力発電所の事故(原発事故)から6年が経過した.未曽有の複合災害の発生からこれまでの間,全国からさまざまな支援を受け,いわき市では市を挙げた復興への取り組みが進められてきた.本市は被災地でありながら,周辺の原発立地地域より多数の避難者の受け入れを行ってきた.さらに本市には現在,廃炉,除染そして市内の復興などのために市外から多数の労働者も来ており,さまざまな背景を持つ人が住んでいる.
市内では災害公営住宅(地震・津波被災者等向け)1,513戸が既に完成し,入居が始まっている.また原発事故避難者向け(他自治体向け)の復興公営住宅1,768戸の建設が予定されており,494戸〔2016(平成28)年11月30日現在〕が完成しこちらも既に入居が始まっている.
本稿では震災・原発事故からの6年間を振り返り,東日本大震災・原発事故が本市の地域保健(医療)体制へ及ぼした影響と現在の課題等についてまとめてみたい.
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