特集 公害に挑む
コンビナート公害と闘う—いわき市の場合
鈴木 達雄
1
1磐城地区産業医学研究会
pp.271-274
発行日 1971年5月15日
Published Date 1971/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204254
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福島県東南部に位するいわき市は昭和41年10月,平,磐城(小名浜),内郷,勿来,および常磐各市他4町6村の合併により全国一の広大な面積をもつ新進都市(人口33万)として発足した.もともと同地は既に明治の中頃から常磐地区を中心に石炭鉱業地として発展してきたが,その後昭和12年日本水素工業KKが設立され,さらにこれらに関連の企業の進出を見た.特に新産都市としての指定を受けた昭和39年以降は化学工業,化学繊維工業および非金属工業など臨海性装置工業を中心としていわゆる無機化学コンビナートが小名浜,勿来臨海地区に完成し今後さらに隣接地域に重油専焼火力発電所,あるいは石油コンビナートの新設が予定され,また既存の各企業にも施設増設の計画がある.地域開発の段階でこのような大規模な工業地域が既存市街地や住居地域に接近して計画され,また企業側での積極的な公害防止策もほとんど実施されずにきた今日,各種の公害が起こりうることは四日市の例に見るまでもなく必至である.
小名浜地区に相ついで起こった被害,さらに今後拡大が予想される汚染に対し地区住民は大きな住民運動を展開したのであるが,これら住民のなかにあって住民の健康管理の任をあずかる開業医師団がこの問題にどのように対処し,また今後どのようにあるべきかについて以下私見を述べたい.
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