特集 環境汚染への対応
いわき市の大気汚染対策—その現状と問題点
島貫 光治郎
1
,
吉田 稔
1
1いわき市公害対策センター
pp.609-613
発行日 1975年9月15日
Published Date 1975/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205074
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Ⅰ.大気汚染対策の推移
いわき市は福島県の南端に位置し,昭和41年10月5市9町村が合併し,総面積1,228.18km2,人口33万都市として発足した市である.地形的には東は太平洋,西は阿武隈山脈にかこまれた太平洋低地帯である.昭和39年新産業都市の指定を受けて以来国際貿易港"小名浜港"を中心に磐城(小名浜)地区,勿来地区,常磐(湯本)地区に化学工業,非鉄金属製錬等を中核とする大手企業が相次いで立地され,太平洋に面した臨海工業地帯として急速な発展をして来た.その反面,小名浜及び勿来地区における火力発電所,工場・事業所のボイラー,非鉄金属製錬等から排出されるいおう酸化物,浮遊粉じん,あるいは化学工場及び非鉄金属製錬等から排出されるフッ化水素,塩素,重金属等の有害物質による大気汚染問題が発生し,特にいおう酸化物による生活環境への影響による地域住民からの公害苦情が多発した.
当初の対策としては二酸化鉛PbO2法によるいおう酸化物測定にすぎなかったが,こうした背景のもとに昭和41年には大気汚染自動測定機による環境汚染濃度の測定を開始した.
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.