特集 がん対策の加速化
がん死亡率低減に資するためのがん検診の課題と対策—特に精度管理について
斎藤 博
1
,
町井 涼子
1
,
雑賀 公美子
1
1国立がん研究センター社会と健康研究センター検診研究部
pp.221-227
発行日 2017年3月15日
Published Date 2017/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208627
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はじめに
2007年に策定されたがん対策推進基本計画(以下,基本計画)では,その後の10年間に年齢調整死亡率の20%減少を達成することが全体目標に掲げられた.20%の内訳は死亡率の自然減(10%)と,各種のがん対策による上乗せ(10%)である.この死亡率減少の大きさは,2015年時点の推計で当初の計画を下回っていたため,改めて対策を強化すべく,がん対策加速化プランが策定された(2015年12月).今後は2017年6月以降に第3期基本計画が策定される予定である.
基本計画では全体目標達成のための主要な対策として,喫煙対策,医療の均てん化,そしてがん検診が設定された.がん検診については死亡率減少効果の大きさを正確に推定するためのデータはごく限られているが,死亡率を下げるプロセスは比較的明確であり,第1,2期の計画ではそれを踏まえて個別目標が設定された.それら個別目標の達成度と死亡率減少を実現するための国際標準の要件を踏まえながら,特に精度管理について今後の「加速化」に向けた課題と対策を考える.
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