特集 進めよう! COPD対策
COPD患者の身体活動性の向上と呼吸リハビリテーション
塩谷 隆信
1
1秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻
pp.849-854
発行日 2015年12月15日
Published Date 2015/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208322
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COPDの身体活動性の低下と生存率
身体活動(physical activity)とは,日常生活活動と運動を合わせたものである1〜3).身体活動は,安静レベル以上のエネルギー消費に至る骨格筋の活動によってもたらされるすべての身体的の動きであり,運動,家事や仕事などあらゆる活動が含まれる3〜5).この中で運動(exercise)とは,計画にそって行われる身体活動であり,健康状態を高めることや体力向上,楽しみなどを意図として構成された身体の動きをさす.こうした運動には,速歩,ダンス,エアロビクス,ジョギング.テニス,サッカーなど多くの種目が属している1〜3).
近年,COPD(chronic obstructive pulmonary disease;慢性閉塞性肺疾患)患者では軽症であっても日常生活における身体活動性が低下していることが注目されている6,7).Copenhagen Heart Studyにおいては,20年にわたる追跡調査の結果,COPD患者の日常生活活動(activity of daily living;ADL)と初回入院および生存率が大きく相関することが報告されている8).この報告は,2,386人のCOPD患者における非常に長期間にわたる追跡調査であり,1週間に4時間以上歩行あるいは自転車に乗る習慣のある人はほとんど動かない人に比べて5年生存率において約20%,10年生存率において約30%高いことが指摘されている.
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