特集 たばこ対策
たばこ増税と期待される効果
望月 友美子
1
1国立がん研究センターがん対策情報センターたばこ政策研究部
pp.665-669
発行日 2015年10月15日
Published Date 2015/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208272
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今年,2015年は,世界保健機関(WHO)たばこ規制枠組条約(FCTC)が2005年に発効して,ちょうど10年目である.20世紀半ばにたばこによる健康被害が証明されてから半世紀後に,地球規模で拡大するたばこの流行とその健康被害を鑑み,世界保健機関憲章第19条で定められた権限をWHOが初めて行使して,地球規模での解決策を講じるために国際的な枠組として制定した条約である.
年間600万人の死亡をもたらすたばこほどの依存性と有害性,致死性を有する製品であれば,本来,合法的な流通はありえないが,たばこ生産に経済的に依存している国もあり,さらに多くの国々で,財政物資として社会経済政治制度に組み入れられてしまっている.そこで,即座に禁止措置の対象とする代替策として,需要と供給の両面から規制をかけることで,現世代および特に次世代をたばこの害から守ろうという国際合意がFCTCである.現在,世界人口の89%をカバーする180の国と地域が条約を締結しており,たばこ生産国であるジンバブエまで参加した.
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