特集 新型たばこ—健康影響と規制のあり方
たばこの警告表示,広告規制,たばこ税に対する加熱式たばこの影響
吉見 逸郎
1
,
片野田 耕太
2
1国立がん研究センターがん対策情報センターたばこ政策支援部
2国立がん研究センターがん対策情報センターがん統計・統合解析研究部
pp.614-618
発行日 2019年8月15日
Published Date 2019/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209207
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はじめに
本稿で扱う,たばこの警告表示,広告規制,たばこ税については,日本国内では厚生労働省の所管ではなく,たばこ事業法を所管する財務省の担当になっている.しかしながら,WHO(World Health Organization)のFramework Convention on Tobacco Control(FCTC.たばこ規制枠組条約)1)2)に沿った取り組みを進めている先駆的な国々では,上記を保健当局の法令で位置付けている.しばしば言われることではあるが,たばこ産業の発展を目的に掲げているたばこ事業法3)によって消費抑制を目指すという施策はそもそも自己矛盾であり,限界があって当然である.今後の日本におけるたばこ対策を考えるとき,こうした管轄省庁や法体制といった「構造」そのものにも目を向けることが一層重要となる.
本稿では,こうした「構造」の問題のために浮かび上がっている,たばこに対する日本の現状とFCTCの示す方向性とのギャップについて,現状を述べる.
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