特集 たばこと健康
たばこと健康
川田 智恵子
1
Chieko KAWATA
1
1東京大学医学部保健学科保健社会学教室
pp.220-223
発行日 1986年4月15日
Published Date 1986/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207234
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■喫煙がなぜ問題になるのか
たばこは今世紀のはじめ頃から,人々の生活に徐々に深く入りこみ,生活にある種の潤いをもたらしたことは否定出来ない.芝居に登場する役者の粋な喫煙のしぐさにうっとりし,御下賜のたばこを押し戴き,外国製たばこにあこがれ,喫煙CMやポスターを格好よいと思い,そんな様々な機会を通して,人々はたばこへの親しみを増していったのである.
一方,1950年代になって肺がん患者は喫煙者に多いということが,米国や英国の研究者によって報告されると1),欧米では徐々に喫煙と健康障害についての関心が高まっていったが,わが国の保健・医療関係者が関心を示しはじめたのは,それから10年以上たってからの事である.
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