特集 喫煙対策はどこまで進んだか
新たに考えるたばこ対策情報―「国家百年の計」に参画しよう
望月 友美子
1
1国立保健医療科学院研究情報センター情報デザイン室
pp.945-947
発行日 2004年12月1日
Published Date 2004/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100518
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たばこ問題の背景
現在,たばこによる死亡は,世界全体で年間500万人,わが国でも年間11万人と試算され,今後ますます増大することが予測されている.たばこ消費が現状のまま続くと,20年後には全世界で年間1,000万人がたばこによって生命を奪われ,うち7割が途上国に起こるとされている.たばこ生産に依存した経済体制や多国籍企業の国境を越えた産業活動もあることから,たばこ問題は,環境問題と同様,個人,地域,国家を超えた地球規模の大問題となっており,地球規模の解決策が求められている.
単一の原因で,これほど多数の死者をもたらす製品や危険行動は未だかつてないにもかかわらず,たばこだけは多くの国々で,リスクの大きさに見合った規制を免れてきた.特に日本では,たばこ産業が提唱する「大人の嗜好品」「個人の嗜好」「社会調和」というような曖昧な言葉の前に,たばこの有害性や依存性を前提にした科学的なリスクマネジメントの議論はきわめて低調であった1).
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