特集 地域におけるたばこ対策の取り組み
たばこ対策における国際的動向
望月 友美子
1,2
1国立公衆衛生院公衆衛生行政学部
2厚生省保健医療局地域保健・健康増進栄養課
pp.778-781
発行日 1999年11月15日
Published Date 1999/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902178
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わが国のたばこ対策は,諸外国の動向と比べて遅れている,という指摘を受けることが多い.現実に,成人男性喫煙率は先進国の中では極めて高く,1人当たり消費量も世界で最多に属する.また,たばこ産業の健全なる育成を目的とする「たばこ事業法」(大蔵省)がある一方で,たばこ対策にかかわる法的規制は「未成年者喫煙禁止法」(警察庁)だけである.
しかし,平成9年版「厚生白書」において初めて,受動喫煙や依存性の問題を鑑み,「たばこは個人の嗜好の問題にとどまらず健康問題」1)と指摘されて以来,わが国のたばこ対策は大きく転換する機運を迎えた.21世紀に向けた国民健康づくり運動「健康日本21計画」においては,生活習慣病の最大の危険因子であるたばこに関して,2010年までに成人喫煙率・未成年喫煙率とも半減,および15歳以上国民1人当たり紙巻たばこ消費量の半減を数値目標とすることが中間報告として提案されている2).これに対して,禁煙推進団体やたばこ産業関係団体から既に賛否の意見が寄せられているが,その他幅広く意見を聴取しながら,年内に最終案を確定する予定である.
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