連載 リレー連載・列島ランナー・74
生涯にわたって食べる機能を支援するまちづくり—保健所の公衆衛生と臨床の融合を目指して
矢澤 正人
1
1新宿区健康部
pp.353-356
発行日 2015年5月15日
Published Date 2015/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208187
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保健所に求めたもの
大学院では,予防歯科を専攻し,動物実験に明け暮れていました.しかし,その時感じたことは,この動物実験の延長線上を歩み続けても,人間のトータルな健康は見えてこないのではないか,という思いでした.そのような思いを抱きつつ,保健所を進路に選んだ理由は,公衆衛生分野で活動していた仲間の存在が一つ.もう一つは,片山恒夫先生という歯周病治療では日本のレジェンドとも言うべき歯科医が,戦後のモデル保健所の一つ,豊中保健所に5年間勤務しておられた事実を知ったからでした1).
とは言うものの,保健所は健診をするところぐらいの知識しか持ち合わせない私は,思い余って当時豊中市で開業しておられた片山先生の歯科診療所を東京から訪ねることにしました.片山先生の診療室での対話は,2時間の予定がとうとう6時間にも及び,私は最終的に「公衆衛生と臨床と教育のできるような職場を選びなさい」との先生の言葉をいただき,杉並区の保健所に勤務することとなったのでした.
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