視点
健康な「まちづくり」と「まちおこし」—政令市型保健所の可能性
前田 秀雄
1,2
1渋谷区健康推進部
2渋谷区保健所
pp.2-3
発行日 2017年1月15日
Published Date 2017/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208581
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不易流行の街
芭蕉は,俳諧の理念として「不易」は時代の新古を超越して不変なるもの,「流行」はそのときどきに応じて変化してゆくものを意味するが,両者は本質的に対立するものではなく,「流行」という新しみを求めて変化していくことが,実は「不易」の本質であるとしている.
政令市型保健所が設置されている都市部の自治体は不易流行の街ではないかと感じる.時代の推移と共に文化流行といったソフト面も建築物や景観などのハード面も目まぐるしく変化している一方で,世代を超えて定住している一族や長く暖簾を守って営まれている商家,さらには連帯感を維持した地域団体や町会組織などが確固とした存在感を示しているからだ.このため,行政を進めるうえで,地域コミュニティの維持育成を継続的に図る施策を進めていくことが求められると同時に,常に最新の社会経済的状況に迅速的確に対応した方策を打ち出していかなければならない.地域保健対策においても,まちづくり,地域づくりの視点からのソーシャルキャピタルを支援する「不易」の保健活動が必要である一方で,少子高齢化に伴うニーズの変化,グローバルな経済理念に基づいた保健医療福祉サービス産業の発達,そして住民自身の健康意識の変容など,様々な「流行」に対応していかなければならない.
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