--------------------
あとがき
西田 茂樹
pp.216
発行日 2015年3月15日
Published Date 2015/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208149
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
今回の特集の読後,意外に思ったのは「平均寿命における男女差の人口学的構造」の分析内容でした.平均寿命の長さには0歳により近い年齢の死亡率がより大きく影響します.したがって,平均寿命の男女格差への年齢別死亡率の男女格差の影響も0歳により近い年齢のほうが大きくなります.しかしながら,現在では低年齢,若年齢での死亡率の男女格差がきわめて小さいため,低年齢,若年齢の死亡率の男女格差の平均寿命の男女格差への影響は小さい状況となっています.ここまでの分析内容は執筆依頼の時点で予想していたとおりでした.少し驚かされたのは平均寿命の男女格差を65歳以上の高齢の年齢の死亡率の男女格差が約70%説明していた点です.以前,青森県の男性の低平均寿命の分析を行っていたことがあり,その時は40歳代,50歳代の死亡率の高さが短い平均寿命の原因となっていました.今回もおそらく中高年の男性の高死亡率が平均寿命の男女格差の主因ではないかと予想していたのですが,見事に間違っていました.さらに,当然と言えば当然なのですが,平均寿命の男女格差を生じさせている死因は悪性新生物をはじめとする死因順位上位の死因でした.
高齢者の死亡率や死因順位上位の死因の死亡率が平均寿命の男女格差に大きな影響を与えている点は,平均寿命の男女格差の解消のために,新たな公衆衛生活動ではなく,われわれが従来から行ってきた活動が寄与することを示していると考えられます.より積極的に公衆衛生活動に取り組むべきと思われます.
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.