保健行政スコープ
21世紀に向けての食品保健計画
梅田 勝
1
1厚生省生活衛生局食品保健課
pp.286-287
発行日 1989年4月15日
Published Date 1989/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207923
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●食品衛生行政の動向
わが国の食品衛生行政は,明治11年に各府県に対して出された「アニリンその他鉱物性の絵具染料をもって食物に着色するの取締方」の通達に始まる.しかし,食品衛生行政の基本的な考え方が明確にされたのは,明治33年に公布された「飲食物其ノ他ノ物品取締ニ関スル件」によってである.この法律はわずか4カ条に過ぎず,具体的な取り締まり事項については規則に委任する形がとられ,牛乳営業取締規則等の内務省令が順次制定された.その後,昭和初期までに法令は一応整備されたが,飲食店等に対する規則はなく,食品衛生すべてを包括する法体系ではなかった.
第二次世界大戦終了後,有毒甘味料の出現やメタノール中毒の続出に対して有毒飲食物の取り締まりが強化される一方,地方において衛生行政の第一線が警察から離れ保健所の担当するところとなった.また新憲法のもとに昭和22年12月,食品衛生に関する包括的な法律である食品衛生法が制定され,飲食物営業に対する許可制の採用,食品衛生監視員制度の創設など,食品衛生に関する法制度が整備強化された.
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