明日の地方衛生研究所
食品衛生
片桐 進
1
Susumu KATAGIRI
1
1山形県衛生研究所
pp.121-124
発行日 1989年2月15日
Published Date 1989/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207873
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◆はじめに
昭和51年,地方衛生研究所(以下,地研)の強化に関する厚生事務次官通達があってから10年以上経過した.その要綱の地研設置目的には「地方衛生研究所は,公衆衛生の向上を図るため,都道府県または指定都市における衛生行政の科学・技術的中核として,関係行政部局と緊密な連携のもとに,調査・研究,試験検査,研修指導および公衆衛生情報の解析・提供を行うことを目的とする」とうたわれている.この基本理念は今も変わるものではない.
近年の医学を含む科学技術の進歩および高度経済成長を背景とした国民生活の向上,そして長寿社会への急激な変動は,眼をみはるものがある.それに伴い社会の疾病構造は,コレラ,赤痢等の消化器系急性伝染病の時代から,成人病およびエイズを含む性行為感染症等,その成因および拡大要因が人間のライフスタイルに大きく関係する疾病の時代へと変遷してきている.これからの疾病予防は,各個人のライフスタイルの適正な指導であり,その実践は個人の責任で自ら行わなければならない時代になった.「健康づくり」政策はこの理念に基づくものである.
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