特別寄稿
食品と寄生虫—食品衛生の立場から
吉村 裕之
1
1千葉大医学部薬理学教室
pp.33-38
発行日 1967年6月10日
Published Date 1967/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203951
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いとぐち
食品とその衛生に関する知識は私どもの日常生活に直結する重要な生活科学の1つである。最近食肉その他各種の食品に対する一般の関心が高まりつつあり,事実巷間にはいろいろな問題が話題とされている折柄,これに関して筆者のもとに寄せられる質問が多くなってきている。そもそも食品衛生はそれ自体独立した学問ではあるが,医学的な基礎科学から食品加工,さらには実生活への適用と極めて広い範囲にまたがっている。このなかで医学的な分野では主として細菌やビールスなどの微生物,あるいはここでとりあげようとする寄生虫(原虫といわゆる一般寄生虫――線虫,吸虫,条虫類)の汚染または感染,さらには腐敗や変質などの生物化学的現象もとり扱われることはいうまでもない。本稿では筆者の関与している寄生虫についてその主要なものに限って少しく解説を試みたいと思う。なお予めおことわりしておきたいことは寄生虫として読者の最もよく知られる蛔虫や鉤虫や鞭虫など野菜や水などを介して感染する種類のものはここでは割愛し,主として食肉(獣肉)と魚介類を媒介して人に感染するしかも日常の食生活に関係の深いものにしぼってのべたい。さっそく本論に入る。
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