発言あり
男女雇用機会均等法
田中 平三
,
揚松 龍治
,
鈴木 治子
,
佐野 正人
,
庭山 正一郎
pp.585-587
発行日 1987年9月15日
Published Date 1987/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207526
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性役割分担と同一労働同一賃金
女性の人生は4期に分けられよう.第1期は成長期であり,教育を受ける時期である.第2期は育児期,第3期は次世代の育成義務からの解放期,第4期は老後である.第1期後の数年間は,社会活動(職業に就くなど収入を伴う活動のみならずボランティア活動,市民運動,学習活動など非収入活動も含む)に従事しているが,間もなく第2期へ移行し,社会活動を離れる.第2期は20歳代後半からの5〜10年間で,期間の長さは出産児数による.第2期と比較して第3期では,主として非収入活動の増加が認められるが,収入を伴う活動には増減がないといわれている.第2期に育児・家事と職業とを両立させえた女性のみが,引き続いて第3期にも収入活動に従事しているということになる.平均余命の延長と出産児数の減少に伴い,良妻賢母時代に比べて近年では,第3期が大幅に延長してきた.「男女雇用機会均等法」が,育児・家事と職業の両立に加えて,第3期存在の認知と,この時期における収入活動の増加とに寄与することが期待される.
一方,女性の残業時間が延長され,深夜業禁止や危険有害業務就労規制なども大幅に緩和されつつある.母性の尊厳と保護を前提とし,「性役割分担を廃止し,モノの生産領域とイノチの生産領域における両性役割の相互乗り入れが可能な社会」が実現されるのであろうか?
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