特集 胃癌—その知識と対策のために
胃癌の初発症状とその意義
春日井 達造
1
Tatsuzō KASUGAI
1
1愛知県がんセンター
pp.169-176
発行日 1987年3月15日
Published Date 1987/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207432
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■はじめに
胃癌の自覚症状は不定で,その早期には一般に軽微で無症状,無自覚のこともあり,これが早期発見の遅れる原因の一つとされている.しかし,病変が進行するに従って,なんらかの臨床症状を表すことは周知のことである.もちろん,病巣の発生部位,大きさ,潰瘍化の有無,狭窄の有無,程度,転移の有無,状態,出血の有無,程度などにより相違があり一様ではない.病巣が噴門に近接しておれば比較的早期につかえ感が現れ,幽門癌では早晩通過障害をきたし,胃部膨満感,悪心,嘔吐など幽門狭窄の症状を表す.疼痛は最も多くみられる自覚症状であるが,周囲臓器への癌転移により激しさを増す.
胃癌の臨床症状については成書1〜3)にも種々記載されているが,ここでは私どもが経験した胃癌症例についての検討成績4)を述べるとともに,文献的考察を行う.
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