特集 老人保健法—4年が経過して
老人保健事業の評価方法と評価のあらまし
安西 定
1
Sadamu ANZAI
1
1昭和大学医学部公衆衛生学
pp.125-132
発行日 1987年2月15日
Published Date 1987/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207424
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■はじめに
老人保健法が昭和57年8月に制定され,多くの課題を抱えつつ翌58年2月から全面的に施行されて,早くもまる4年が経過した.この間における公衆衛生・医療関係者や福祉等関連分野の人達の努力は並々ならないものがあったことは,万人の認めるところである.また,老人保健法の目的は,国民の老後における健康の保持と適切な医療の確保のために,疾病の予防,治療,機能訓練等の保健事業を総合的に実施し,国民保健の向上および老人福祉の増進を図ることとされている.そしてその内容は,中高年を対象とした成人病予防法の性格に合わせて,医療費の抑制と老人医療費支給制度の再編成の目的をもつものと解されている.従って,老人保健法は高齢化社会を迎えるなかで,保健・医療をはじめとして保険・福祉等社会保障全体にわたって大きな影響をもたらすことが予想されている.
さらに一方では,公衆衛生・医療をめぐって,急速な高齢化社会の到来,疾病・健康観の構造的変化,行財政事情,日進月歩の医学・医療等々の諸情勢を迎えて,老人保健医療を含めた新しい展開が要請され,これらにふさわしい包括的なシステムの構築の努力が続けられているところである.
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