発言あり
実年
加納 克己
,
大塚 知雄
,
渡部 正
,
久常 節子
,
生田 恵子
pp.573-575
発行日 1986年9月15日
Published Date 1986/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207321
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地球規模で増えていく
わが国の平均寿命は世界最長であり,人生80年時代となり,人生わずか50年という言葉はいまや死語である.50代は老年ではなく,60代の人でも自分は老人だと思っていない人が結構いるのではないかと思われる.ヒトが生物体である限り.老いはさけることができないが,老化の程度は個人差が非常に大きい.筆者もあと数年で50代をむかえるのだが,老年の域に入るという感じは全くない.腰が曲がってきたわけでもないし,白髪がとくに目立つということもない.他人がどのように思っているのか知らないが,30代の意識をもち行動している.体力的な衰えは認めざるを得ないが,精神的にはまだ若いつもりでいる.このような状態であるのに,あと数年で他人から「老年」という言葉を用いられたりしたら,よい気分ではない.「実年」のほうがよいにきまっている.この言葉が広く用いられるようになるには,かなりの年月を要するであろうが,定着させてほしいものである.
いまや,わが国は色々な分野で国際化が進み,国際交流も盛んであるが,いまほど日本が国際的に注目されていない頃に,ある友人が医学とは全く関係のない外国人から「日本ではどのような病気が多いのか」と質問され,成人病を文字通り,adult diseaseと訳し,「日本では成人病が多い」と答えたら,その外国人はとんだ間違いをしたということを話してくれたことを思いだす.
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