日本列島
沖縄県がんマップ発表される
伊波 茂雄
1
1琉球大学医学部保健管理学教室
pp.555
発行日 1986年8月15日
Published Date 1986/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207317
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沖縄
沖縄県環境保健部は,去る4月に「県内におけるがん死亡の疫学的な分布」をまとめ発表した.沖縄県民の人口10万対の死因別死亡率は昭和51年では第1位脳卒中86.9,第2位がん85.7,第3位心疾患57.2であったのが翌52年には1位と2位が入れかわり,以後毎年がんが第1位を占め,55年104.1,56年は106.0,57年104.1,58年103.0,59年101.4と推移している.即ち全国平均でみた死因別死亡率でがんが第1位となった年より4年早い.そこで60年度からがん対策特別事業をスタートさせ,その一環として48年から12年間のがんによる死亡状況を分析し,市町村単位のがんマップとしてまとめたものが発表された.それによると,がんによる総死亡率は全市町村で全国並み,あるいは以下の率であった.55年における訂正死亡率は男性113.0で全都道府県中26位,女性は63.0で最低位であったが,部位別にみると男性の食道がんは全国平均3.5に対し13.1,肺がん全国平均18.7に対し23.0で,ともに全国一の高率であった.しかし全国平均がトップである胃がんによる訂正死亡率は20.2で最低位となっていた.食道がんや肺がんによる訂正死亡率が高い原因について,専門家は飲食物のうちアルコール及び若年開始喫煙が,疫学的にみて関連性があるのではないかと述べている.
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