連載 図説 公衆衛生・21
原因不明疾患の疫学—川崎病を例として
安西 定
1
,
柳川 洋
2
,
高原 亮治
3
,
川口 毅
4
1国立循環器病センター・運営部
2自治医科大学公衆衛生学教室
3厚生省保険局医療課
4栃木県衛生部保健予防課
pp.545-548
発行日 1978年9月15日
Published Date 1978/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205669
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
日赤医療センター小児科部長・川崎富作博士が,乳幼児で発熱,紅斑様発疹,眼球結膜の充血,口唇びらん,口腔粘膜の発赤,いちご舌,非化膿性頸部リンパ節腫脹を呈し,回復期に四肢先端より膜様落屑を生じ,しかも溶連菌感染を思わせる検査所見を欠く症例7例を非猩紅熱性落屑症候群として,昭和37年10月,第61回日本小児科学会千葉地方会に報告し,さらに昭和42年には,【50例の詳細な臨床観察をもとに新しい症候群(小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群,略称 MCLS)として最初の原著を発表した.本病の歴史はこのときに始まる.
その後,全国各地から多くの症例が報告され,患者数は1976年に1万例を越した.川崎博士が原著で名付けた診断名は長くてむつかしいので,現在では一般に「川崎病」といわれている.
Copyright © 1978, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.