連載 図説 公衆衛生・22
難病の疫学—スモンを例として
安西 定
1
,
柳川 洋
2
,
高原 亮治
3
,
川口 毅
4
1国立循環器病センター・運営部
2自治医科大学公衆衛生学教室
3厚生省保険局医療課
4栃木県衛生部保健予防課
pp.613-618
発行日 1978年10月15日
Published Date 1978/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205685
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スモンは腰痛,下痢などの腹部症状ではじまり,急性または亜急性に発現する,神経症状を特徴とする新しい神経疾患である.神経症状は両側性で,下半身からはじまる知覚障害を前景とし,特に異常知覚(ものがついている,しめつけられる,ジンジンする)をもって初発することが多い.
スモンは昭和30年頃からわが国でみられ,昭和30年〜40年に集団発生が頻発し,日本全国に蔓延した.本病の発現は亜急性または急性であること,神経病変は末梢神経,脊髄後索および球後視神経を含む非炎症性の変性であることなどから,昭和39年にSubacute Myelo-Optico-Neuropathyと名づけられ,その頭文字をとってSMON(スモン)と呼ばれるようになった.
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