見聞記
アメリカの辺地医療—リビングストン・コミュニティ・ヘルスサービスの例
宮原 伸二
1
1秋田県上郷健康センター
pp.283-287
発行日 1977年4月15日
Published Date 1977/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205370
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はじめに
日本では,辺地医療・無医地区の問題が社会問題化して久しい.にもかかわらず,とくに東北地方においては,無医地区はむしろ増加の傾向にすらある.医師が在住する地区であっても,台湾や韓国の医師を招聘して,問題の解消をはかっているところが数多く見られる.
今回,私は単身渡米して,約40日間にわたり,アメリカの辺地医療や予防医学の実態を見る機会を得た.アメリカの辺地医療も,ここ10数年来危機が叫ばれてきているが,国がその根本的な解決策である医師確保に力を入れて,National Health Corps(全国保健部隊)という制度をもうけ,辺地や貧民街への医師派遣の大きな力になっている.この制度を利用して無医地区を解消し,住民の主体性に基づいた幅広い医療活動を行っている市(アメリカでは人口に関係なく,すべて市とよぶ)を数日間にわたり見聞してきたので,紹介する.
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