事例 母子管理・3
心身障害児の把握と現状
東京都武蔵調布保健所
pp.482-489
発行日 1973年7月15日
Published Date 1973/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204697
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「調布市心身障害者 親の会」が昭和42年に発足し,毎月例会を持って活動していることには保健所開設当時から関心があったが,45年5月「あゆみ教室」の誕生をみたのは大きな感動であった.一生のうちで,もっとも発達の盛んな幼児期の障害児に集団生活を与えその場を通して日常生活習慣の自立をはかり,学習,義務教育を受ける前段階としての訓練をしようと交通便利な小学校の2教室が開放されたのである.市からの300万円余の予算で校庭に面した教室一杯に,じゅうたんを敷きつめ,坐ることのできない子供のための訓練遊具もいろいろ揃え,臨時職員として採用された若い指導員数名が這い這いの練習や寝返り訓練,リズム遊び,フインガーペインティングなど笑顔で子供達に働らきかけている姿,それを受ける子供達,付添って来ている母親の表情,みんな生き生きとしていて明るく,障害児をめぐる場面としては最高の情景であった.今までは障害児に接して,早く機能訓練を,と思っても,どこでどのようにしたらよいかをすすめることもできなかった.都内の施設のリストのメモはあってもケースにふさわしいものを見出すのは至難のことであった.その重苦しさが障害児に眼を向けるブレーキとなっていたことは否めない.保健所開設後1年でこのブレーキの取れたことは私共職員にとっても仕事への意慾をかきたてる動機となったのである.あゆみ教室に通う子供達のリストには3歳児健診の該当者で受診したものも散見された.
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