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はじめに
「障害者」とは,disabled,handicapped,Geschädigte,Behinderteなどという外国語に相当する語で,「先天性ないし後天性の原因による,形態あるいは機能の,持続的な欠損または低下状態を示すもの」をいい,平均的健常人に比し種々のハンディキャップを負っている.
これに対し,「疾病」とか「病人」とかの言葉があるが,「疾病」と「障害」の定義について,現在医学的に明確な区別はつけられていないのである.
「疾病」は,上記障害の原因の1つを構成するものであり,「障害」は疾病の結果もたらされた状態を示し,従って「疾病」という概念が,一般に一過性(temporary,vorübergehend)であり,非固定性,可逆性(reversible)であるのに対し,「障害(Beschädigung,Behinderung)」という概念は,永続性(persistent,permanent,dauernd)であり,非可逆性(irreversible),固定性(fixcrt)の状態を意味していることが多い.
この障害の多様性,複雑性や,医学的アプローチと,社会的対応とのギャップ等については後述する通りであるが,しかしわたくし共は,後記「ハビリテーション」の概念を導入するに当り,この障害を不治永患,手の施しようのない固定的状態とは考えず,「発達障害(developmental disabilities.Entwicklungsstörung)」という概念でとらえ,特に成熟状態に達するまでは,すべて障害は,「発達の遅延した状態,停滞した状態」と考え,障害児に対しては,発達機能を最大限に発揮させることにより,社会生活に適応せしめる能力を獲得させることを,ハビリテーション(habilitation)活動と呼んでいる.
今回,特にその障害の重度にして重復せる,いわゆる重症心身障害児のハビリテーション(リハビリテーション)について,わたくし共の実践活動を通じての問題点を論じたいと思う.
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