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よく聴くことがすべての基礎
生活習慣を患者の価値観と信念を尊重しながら聴くことで,肯定的で協調的な関係を確立する.
外来指導の実際
□生活習慣の現状を把握することは,糖尿病治療の第一歩
生活習慣は複雑で多様で変化に富むため,正確に把握することは困難です.事実としての生活習慣を効率的に聴き取ろうとして,尋問のようになるのは好ましくありません(Tips 1).患者は糖尿病と診断されただけで,生活習慣がコントロールできないダメな人間と見なされていると思いこみがちで,協調的関係が結べなくなっていることがあります.患者の価値観と信念を尊重しながら,生活習慣を聴きます.食習慣については,自記式調査票を用意して,事前に記入してもらい,それをもとに本調査を行うと良いでしょう.運動習慣については,万歩計を渡し,事前に2日間ほど歩数を計測すると参考になります.
□聞き取りを進めていく
ときに矛盾した説明を受けることがあります.矛盾を追求するような態度は控えましょう.また,たとえば大量飲酒が習慣になっている方などで,言い訳とも思える理由付けを長く話すことがありますが,それは「自分が責められていて,尊敬されていない」と感じているためです.「あなたは飲酒するもっともな理由をもっているに違いありません.教えていただけますか?」と質問することで,責めていないこと,無条件に患者を尊敬していることを伝えることができます.生活習慣の現状を聴くことを通して,「話が通じる人,わかる人」と認めてもらうことがすべての基礎になります.糖尿病を引き起こすような生活習慣は偶然できあがるものではなく,誰もが糖尿病を発症する可能性のある社会で生み出されるものです.犠牲者を責める文化があることを十分自覚して患者に接しましょう.
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