研究
ねたきり老人の実態調査と評価法(第2報)—東京都東村山市の事例について
佐久間 淳
1
1和洋女子大学
pp.491-495
発行日 1973年7月15日
Published Date 1973/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204699
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2.綜合的分析--対処の基礎
1)対象へのアプローチの限界
ねたきり老人の分析をより厳密にするためには,より多くの専門職を動員することが必要となるが,これを充たすことは経費の点もさることながら,むしろ人的な面で困難を感じさせられる.最近の医療界での包括医療(comprehensive medicine)とか,綜合看護とかいわれているように,ねたきり老人に対してもより広い角度から科学的にアプローチし,望ましい対処の仕方をシステム化したいと思う.ところが,医療社会学を専攻する筆者は,昨年来2回の調査に医療職の人びととプロジェクトチームを組んでみたが,表現しにくい発想の違いを感じることが多かった.医療職の結合は機能上のものの他に,医師を頂点としたヒエラルキーで構成されている.しかも,後者から前者にウェートが転換されにくい.したがって社会科学的思考や組織論的認識が遮断され,医療の特殊性の名のもとに定形化している.かような実態を十分理解したうえで,ねたきり老人実態調査などチームを組まないと,せっかくの仕事が十分な収獲を得ないで終わる危険性をもっている.この点をまず指摘しておく必要がある.
なお,第1報(本誌37巻・1号)でふれた栄養摂取の状況や歯科領域については,いずれ機会をみてふれたい.歯科調査は今回も都合がつかず見送りとなった.
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