講座
環境保健の提唱(5)
長田 泰公
pp.305-308
発行日 1971年5月15日
Published Date 1971/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204264
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前回は環境基準と職場での許容量とを例として環境にかかわる基準のもつ性格や適用上の問題点をのべた.2つの例以外にも,職場の衛生基準,公害の規制基準,学校やビルの衛生基準など言及すべきものが多い.環境の人間に及ぼす影響は複雑で簡単に一線を画しうるものではなく,これらの基準はいずれも差し当りのものであり,環境の影響がより明らかになるに伴って改訂されるべき性質のものである.現に2月28日の新聞は「いおう酸化物の環境基準」以下でも慢性気管支炎患者の増加がみられたという大阪市の調査結果を報じ,基準再検討の必要を指摘した.しかしここでは,環境の基準についてはひとまず措き,今回は環境保健の基礎となるべき科学技術について考えてみたい.
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