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入院保險の提唱
守屋 博
1
1病院管理研修所
pp.3-4
発行日 1951年6月1日
Published Date 1951/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200330
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◇入院料は今のままでよいか
戰爭中の壞滅状態から,立上つた病院の復興はめざましいものがあるが,今なお院長の目の前には知つていて出來ぬ問題が山積している。手術室の整備にしても,家族付添の廢止にしても,完全給食にしても,先立つものは金と云いたい。これが米國であれば,レントゲン一臺買うにも,寄付金を集めると云う事が出來るが,現在の日本では寄付金の見込は殆どない。大多數の病院の收入が患者料金に依存している現状では,料金と云う問題に關心をもたざるを得ない。これが宿屋とか料理屋ならば,かかつただけの料金を請求するか拂つただけのサービスをしていればよい理だが,病院だけにそう行かないので中に入つた院長が一人で苦しむ事になる。現在我々の病院の内,官公立は勿論,公的機關の大多数のものの料金は凡て標準料金である健康保險の點數を用いている。その他の病院でも極く少數の例外を除いては患者の大多数を占めるのは,保險患者,生活保護患者であり,小數の自費患者にもそれ以上の料金を課す事は不可能の實情である。
手術料や注射料も色々問題のある所だが,それはしばらくおくとして,入院料だけは,あまりに時代ばなれのした料金なのでおどろくの外はない。これは一點,單價の問題でなくて他の治療の點數との比率の問題である。他の注射其の他の料金が比較的容易に原價が計算出來るのに對して入院のサービスについてはその程度の基準が決められぬ所にこの悲割が生れて來た。
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